本日2月10日の日本経済新聞に「中間層の経済余力、東京最下位 首位・三重と月10万円差」の見出し記事が掲載され、三重県在住や関係者が、SNSなどで引用したり、感想を述べたりしています。
もちろん、最下位よりトップは悪い気はしませんが、何らかの意志や努力が反映された訳ではなく、ある種のデータによって切り取られた現実が、そのような状態を示しているということ以上でも以下でもないというのが、私の感想です。すなわち、データの出典や因数を確認した上で、冷静な議論をしなければ、社会的意義を見出すことは出来ないということです。
まず、直接的にこの記事が引用していると思われるのは、企業等の東京一極集中に関する懇談会 に示された資料の一部であり、同様のデータは昨年末にも示されていました。つまり、東京一極集中を緩和するための会議で示された資料であることを念頭に置く必要があります。
また、このデータは「可処分所得」から「基礎支出」を引き、さらに「通勤時間にかかる機会費用」を引いた数字となっています。つまり、通常の金額ベースの数字と、通勤時間を金額に換算した数字が用いられており、通勤時間の長さに焦点が当たっているということです。
ここでポイントは、2人以上の中所得層(中間層)の数字であることです。恐らく、都市に集中していると思われる高所得層や1人世帯が反映されれば、全く異なる結果になる可能性を秘めています(また、時間がある時に調べてみます)。
確かに、都道府県を一覧比較することの意味はありますが、元のデータがどのようなものかを確認しなければ、イメージが先行し、実態とは異なる印象だけが残る可能性があります。